2013年11月3日日曜日

壇蜜 サワコの朝(2)「額に欠品」




阿川佐和子 ちっちゃいころ、ご自身はどういう子どもだったんですか。

壇蜜 結構独りでいることが多かったですね。

阿川佐和子 友達になんかちょっといじめられたりしたこともあるんですか?

壇蜜 というか、馴染めなくて・・・。

阿川佐和子 学校に?

壇蜜 馴染めないと、みんなやっぱり当時はあの子なんだろう? って思って遠巻きになっちゃうんですよね。

阿川佐和子 そういうことに対しては何とかしなきゃっていうか、友達つくんなきゃっていうふうは?

壇蜜 そうですね、馴染む努力はしたんですけど、どうにもならなかったんですよね。

阿川佐和子 やっぱり寂しいことだったんですか?

壇蜜 んー・・・強がってましたね、独りでもしょうがないって。


阿川佐和子 で、大学を卒業してから就職しようとか、仕事に就こうとか、結婚しようとか、どういうふうにそのころは思ってらしたんですか?

壇蜜 普通に企業に就職して、披露宴で愛とか誓うんだと思ってたんですよ。

阿川佐和子 寿退社して、「愛とか誓う」(笑)

壇蜜 でも、就職活動してるとだんだん体が痒くなってくるんですよね。

阿川佐和子 痒くなる?

壇蜜 はい。やりたくないんですよ。

阿川佐和子 どんな感じが嫌だったんですか。

壇蜜 例えば「大学のころ頑張ったことは何ですか」って・・・。

阿川佐和子 聞かれるんですか?

壇蜜 「はい、ミニスカートでケーキを売り歩いてました」って。正直に答えちゃ駄目だったんですね(笑)

阿川佐和子 あっそうなの? 私も就職試験受けたことないんだけど。

壇蜜 あれボランティアとか、サークルで経理の担当をしてお金の大切さをとかって言わなきゃ駄目だったみたいですね~!

阿川佐和子 あははっ。

壇蜜 言ってよ~! って思いました。

阿川佐和子 早く教えてよ~って。じゃあ随分受けたんだけど・・・。

壇蜜 はい、あっ受けもしませんでした。もう痒くてしょうがないんで。

阿川佐和子 えっ、それご両親は何ておっしゃってたんですか。

壇蜜 そうですね、両親は「いや、予想はしていたが」っていう反応でしたね。

阿川佐和子 えっ、予想してた部分は何だったんですか?

壇蜜 恐らく、うちの母は私の部屋の本棚にマルキ・ド・サドの小説が置いてあったことを大変気に病んでいたんですよ。(マルキ・ド・サド 1740~1814 反道徳的で官能的な作品で知られるフランスの小説家。「サディズム」という言葉はサドの名に由来する。)

阿川佐和子 (笑)いつごろから?

壇蜜 16、17ぐらいでしょうね。

阿川佐和子 娘は何に関心持ってるんだと。
 実際そのころおかしかったんですか?

壇蜜 そのころはちょっとやっぱりサド色が入ってきちゃって、なんかやたら中性の王朝の話とかに興味を持ったりとか。
 昔の人が何をして愛情を確認してたのかっていうのがとても気になってたんですよね。

阿川佐和子 そっちに興味を持って?

壇蜜 はい。
 恐らく今は無理やりボーイフレンドをつかまえてどうこうするっていう時間よりも、知識とか、こういうことがありましたっていうものを学ぶ時期なんだろうなって思ってたんですよね。どうせ20歳になったらすぐに社会へとほっぽり出されるんでしょうから、今のうちに。校則も厳しいですし、限られた範囲でどこまで自分を抑圧できるかっていうのを勝負してたんですよね。

阿川佐和子 フフ、なんかサドだな。校則に対するサド?

壇蜜 校則に対する、多分アンチテーゼ的なものだったんですよね。どうせこう(抑え付けられる)されるんだったら、思いっきりこう(抑え付けられよう)なってやろうじゃないかって思ってたんですよね。

阿川佐和子 こう(抑え付けられる)ことを楽しもうじゃないかっていう方向ですね。あっ、その心理を学ぼうと思ってた? なるほど! 面白い!
 で、話は戻りますが、就職をしないっていうか、したくなくなったと。

壇蜜 そうなんです。

阿川佐和子 自分にはなんか取り柄がないというような気持ちがあったんですか?

壇蜜 そうですね、社会不適合者だ、私って思って。

阿川佐和子 なんで、そう思ったんですか?

壇蜜 まず学歴、あとは度胸、全てにおいて自分は並以下である。で、確率変動を起こさせるような起爆剤も何もないと。自分の額には、きっと欠品って書いてあるんだろうなと思いました。

阿川佐和子 (笑)

壇蜜 だから、この先私が大成することはないっていうのは早々に悟っていたんでしょうね。

阿川佐和子 いくつよ?

壇蜜 24ぐらいでしたね(笑)

阿川佐和子 早すぎるでしょう(笑)


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