2013年8月31日土曜日

「軍用機をつくった人の映画を作るんですか」宮崎駿スペシャル『風立ちぬ』1000日の記録(1) プロフェッショナル仕事の流儀



新作の公開まで1年を切った去年秋


宮崎 あーあ、難しくてもう参ったよ。


制作が佳境を迎える中、宮崎は油を売っていた


宮崎 ここでパンってやんないで、スッて合わせるんですよ(笑) グリコって足を上げて。これ僕の発明した体操ですよ。


自ら考案した健康体操を指南する





宮崎 もう一度やり直せ。つまんない空間なんだよ。空間を制限した中で書かなきゃいけないんだ。自分の好きな角度で描くんじゃないんだ。どんだけ俺は時間を無駄にしたと思う、このために。こんなにたまってしまったよ、もう。駄目なら降ろす、もう。すぐやめろ。


現場に戻ると不機嫌になり、鬼気迫る姿を見せるのはいつものことだ


宮崎 いや、もう冗談じゃないよ。俺、もう72だよ。時間ないんだよ、俺。持ち時間そのものが少ないんだよ。


だが、不機嫌の原因はそれだけではなかった

新作のテーマは今までになく厄介なものだった


主人公は伝説の戦闘機、ゼロ戦を設計したことで知られる堀越二郎

実在の人物を初めて主人公に据え、

日本が戦争へと突き進んだ時代を描く


そこには大きな問題が横たわっていた

堀越がつくった飛行機は

戦時中、殺りくの道具ともなったのだ


その半生を描くことは

かつての戦争を美化することにつながるのではないか

周囲には賛否が渦巻いていた


宮崎 「(スタッフが)軍用機をつくった人の映画を作るんですか」って、目が据わってんの。うちの女房にも全く同じ事言われた。「戦闘機をつくった人の映画を作るの」って「トトロみたいな映画をつくればいいじゃない」とか。トトロみたいなもんって、トトロあるからいいじゃんね。


なぜ、宮崎はファンタジーを捨て、困難な道を選択したのか


宮崎 俺だって、これで「戦争の道具をつくった人の映画をつくるんですか」っていうのに答えなきゃいけないんだ。なんでつくると思う?




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