2014年1月15日水曜日

ボクらの時代 壇蜜×小島慶子×ミッツ・マングローブ(4)「女のパロディー」

小島慶子 今年は女の人のファンがダーンって増えて。

壇蜜 いや、もう有り難い。

小島慶子 「壇蜜さーん!」って。

壇蜜 幼稚園児とかの子が「壇蜜」って(指をさす)。

ミッツ 壇蜜知ってるんだ。

壇蜜 たぶんピカチュウと同じぐらいの感じなのかな。

ミッツ 本当サービス精神が旺盛な人だなあと思って見てるから,いつも。

壇蜜 ただ,今やってること,テレビでお世話になってることと雑誌でお世話になってることのギャップがあり過ぎて。フルじゃないですけどセミヌードのような週刊誌の袋とじを出したときに、やっぱりテレビだけのお付き合いの人でびっくりされた方っていうのは、結構お仕事仲間にもいましたね。「え!こんなことやってたの」っていう。

小島慶子 そうか.今年テレビで知り合ったから。

壇蜜 知らないんですよ,そっちの世界を。隠すものが流木しかなくて。

小島慶子 流木、いいですね、流木。

壇蜜 「流木が」「流木が」ってずっとおっしゃってたんです.

小島慶子 でも,テレビとかラジオにでたり何か文字書いたりとかっていうのと、体を晒したりってそんな変わらない。

壇蜜 そうなんですよ.だから自分の考えてることだったり、体そのものを切り売りすることに何ら変わりはないのに、やっぱりくり抜くとグラビアっていう世界は特殊に見えるんでしょうね。

小島慶子 ねえ,不思議よね。いつも不思議なの.

ミッツ グラビアが?

小島慶子 グラビアとかもそうだけど「水着とか裸とか晒すなんて信じられない」とか「過激な人」とか言われ方するけど,人前に出て何か喋ること自体、相当恥ずかしい。

ミッツ それは男社会の中の男目線で見てるからでしょ。

小島慶子 そうなのよね、女の人もみんな男目線を持っててさ、頭の中に。

ミッツ だからどっちが有り難いかっていうのを常に比較されてるわけでしょ。そりゃおっぱい放り出したほうが男は有り難いわけだから.

小島慶子 私,前ミッツさんに聞いたんだよね。「女装家の皆さんとかトランスジェンダーの方で男性から女性にっていう方は結構テレビの中では見慣れてきたけど,逆の人がなかなか出てこない。女性で男性の格好してるとか、女性から男性に性別を変えた人とかっていうのが。タレントとしてさいのうある人もいっぱいいると思うのよ.でも、全然テレビに出てこないのは何でかな?」って聞いたら「それは男が見て面白くないからよ」って。

ミッツ そう。テレビ的なインパクトがないから。

壇蜜 あと、ほんとにタブーみたいに見られるんですよね。男性が女性に変化することに対して世間はあんまりアレルギーを起こさないのに、女性が男性になることに対しては何だか伏せがちですよね。

小島慶子 何でしょうね。

ミッツ だから,それは男社会だからよ.すっごい雑な言い方すると女が1人減るわけじゃん。それは男にとってよろしくないことじゃない.で、なおかつそれが男社会に入ってくるわけじゃない.

小島慶子 自分のほうにね。

壇蜜 それ、本当に脅威ですよね。

小島慶子 本当に男目線だよね、テレビって。

ミッツ うん、思う.

壇蜜 そうですね。

小島慶子 辞めてから思った.

壇蜜 おそらく小島さんみたいな考えを持たれてる女子アナの方も、たぶん何人か・・・。

小島慶子 いっぱいいると思う.

ミッツ 女子アナの世界も、それはだって男に支配されてるもんね。

小島慶子 女子アナはおいしいですよ.だって男性と同じ待遇で、見てる人に対しても、「私,画面の中に出てますけど会社に言われて出てるんで、別に出たがりってわけじゃないんです~☆」みたいな体で出れる・・・。

壇蜜 ああ、やらせれてる感を・・・。

小島慶子 そう。「全然目立ちたいわけじゃないんです.お仕事,お仕事☆」っていう体で出られるし・・・。

ミッツ それができる人たちが女子アナなんじゃないの、やっぱり.堅実で器用でしょう.

小島慶子 欲望をひた隠しにする感じ.「私は無欲です」っていうことによって欲望が全開になる感じ?っていうのが・・・。

ミッツ 欲望があればあるほど,たぶんそれができる気がする.

小島慶子 そうなのよ.

ミッツ でもそうなると、たぶん私はそこは女性発信で飼いならしてるじゃないけど,男を。そのぐらいのことをやっているように見えるのね、特に女子アナの人たちは。

壇蜜 負けてあげてる感はありますよね。

小島慶子 もちろん自分の中にすごい完全に男性目線もあるし、求めらる女子アナができる人が優秀な人であって。でも,前なんか壇蜜さんとも話したんですよね。グラビアであれ女子アナであれ、ある種・・・女子アナっていう形も無欲なふりをして欲望を具現化する仕事じゃない?グラビアは欲望全開っていう形で欲望を具現化するけど。方向性とか表現の方法は違うけど、おんなじだよねって。

壇蜜 まあ基本、女性から嫌われる仕事ではありますね。

小島慶子 ねえ。だからすごい今、何で女性にファンがバーっと増えたんだろう?

壇蜜 たぶん,私のやることなすこと全てがせりふっぽく感じたんでしょうね。

小島慶子 ああー。

壇蜜 私,よくライターさんとか、作家さんとかにもそうなんですけど,女のパロディーって言われてるんですよ.女のパロディーだってことがだんだん分かられてきたからこそ、皆さん「あ、この人は敵じゃない」って思えるようになったのかもしれないですね。

小島慶子 女子アナも女のパロディーだしグラビアもそうだけどさ。女装も女のパロディーよね。

ミッツ そうなのよ.だから壇蜜さんにそれやられちゃうと・・・本物の女に女のパロディーやられちゃうと商売上がったりなのよ.

壇蜜 いやいや。でもパロディーにもいろんなパロディーがあるじゃないですか.

ミッツ でも分かるよ.すごい忠実に追おうとしているものとか,乗ろうとしてる役みたいなところはすごい分かるのね。共感はあるんだけど「でも脱いでも女なんだよな、この人」と思うと・・・もうおっかないよね。

小島慶子 壇蜜さんは男の人が見たい女の人を「こうでしょ」って。ま、女子アナもそうじゃん、男の人が見たい・・・つまり,昼、男が見たい女が女子アナで、夜、男が見たい女が壇蜜さんなわけだけどさ、ミッツさんの場合は別に男が見たい女をやってないけど、女のパロディーっていうのは・・・。

ミッツ そう。だから本当に自己満足なんだよね。

壇蜜 いや、でも甘えたい人のパロディーだと思ってます,私は.

小島慶子 ああー。

壇蜜 男性が頼りたい、甘えたい。

ミッツ それは結果論よ.

壇蜜 そうですか?

ミッツ うん。喋ったって声が低いし、こういうの(ぶりっこ)ってできない、やってもなかなか無理があるじゃない?私たちみたいのが。だからそこはわざわざやらないっていうだけで。

壇蜜 ちょっとやってみます?

小島慶子 やってみて、女子アナ風に。

壇蜜 なんて言うんでしたっけ?「続いては・・・」?

小島慶子 こういうのとか飲んで(サイドテーブルの上のドリンクをストローで飲見ながら)「あ☆優しい味~☆」とか言うのよ。 たいてい「優しい味」って言うのよ.

壇蜜 「見て見て~ハートになってる~!」(ティーカップの中を見せながら)

小島慶子 「あ~すてき~☆」

ミッツ (笑)

壇蜜 「こんなのデートで飲みたいな☆」とかやるんですか?鳥肌立ってきた。

ミッツ 上手、上手。上手よ.小島さん本当へたよね、女子アナのまねね。女子アナだったくせにね。

小島慶子 そう?

壇蜜 「優しい味」って言うんですか?

小島慶子 言うのよ.たいてい「うぅ~ん☆優しい味~☆」とか言って。

ミッツ そんな声出す女子アナいないから(笑)

小島慶子 グラビアだったらグラビアです!壇蜜さんだったら壇蜜さん!堂々としてるとこあるんですけど,かぎかっこ女子アナっていうのは、昔私やってたからかもしれないですけど、何だろうパロディーですって言う気もないし、どこまでも優等生ですっていうふりをし続けなきゃいけないし。ま、それができる人はプロなんですけど。

ミッツ その過渡期だったんだよね、たぶんちょうど小島さんの世代って。女子アナアイドルみたいなのが10年ぐらい先輩にブワッとブームになって・・・。

壇蜜 女子アナブームみたいのありましたよね。

ミッツ そう。無自覚のままちやほやされることが当たり前になってきた風潮で、さあどうしようってとこで、でも世間もいろいろ気づき始めるじゃない.もちろん女性の目っていうものもどんどんどんどん厳しくなって。そうすると今度小島さんよりあとの世代って完全に「あたし女子アナやってます」みたいな・・・。

小島慶子 そうなのよ.パロディー世代なのよね。あたし、そのはざまなんですよ.パロディーとして女子アナ始めた人でもないし優等生として箱入り娘のちょっとした脱線っていう範囲でアイドル化された人とも違う、そんな感じだった.

壇蜜 そんな感じで一番悩むときにお仕事されてた。


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