2014年1月15日水曜日

ボクらの時代 壇蜜×小島慶子×ミッツ・マングローブ(8)「ひとり」

小島慶子 12月29日だから2013年を振り返る。

ミッツ 本当そうやってアナウンサーみたいな人が仕切ってさあ(笑)

小島慶子 1年振り返るのよ.

ミッツ たぶん小島さんが一番躍動的に生きてると思うよ.いろんな要素が日々あるじゃん。独り身って、本当に繰り返しだよね?

壇蜜 繰り返しです.そもそもどうして結婚したのかって知りたいです.

小島慶子 ああー。夫の部屋に遊びに行ったとき,自分の部屋より快適だったから、この人と一緒のほうが世界がましなところに見えると思って同棲を始めて3年同棲して・・・「もう電波がつながらない!」って携帯を投げたりするような情緒不安定な20代だったんですよ,私は.そういう女と3年暮らせたんだから,きっとこの人は大丈夫なんじゃないかと思って。私は夫といるほうが1人で生きていくよりも安定すると思ったんです,心が。世界と友好的な関係が結べる気がしたから結婚したっていう感じ。

ミッツ じゃあ、今旦那さんがいない生活を想像すると恐ろしくなる?

小島慶子 恐ろしい。ほら、自分のために料理なんか作んないっていう、あんまり自分と相性がよくないというか。自分の世界に1人で住んでて完結して充足するタイプではないから、そうじゃないところにお引越しをしたいっていう。引越し先の夫がもしいなくなっちゃったら,またふらふらっと・・・。

壇蜜 戻んなきゃいけなくなるのも嫌だし?

小島慶子 嫌だし、行き場所がなくなっちゃう感じかな。

ミッツ でも、それはなんかすごく意味がある気がするな。この人がいるから幸せなんだとかそういうことよりも、いなかったらとんでもなく恐ろしいっていうのがちゃんとあるかないかな気がすんだよね。

壇蜜 いることの大事さっていうよりも、いないことの想像がちゃんとついたほうがつながりが深く持てそうですよね。

ミッツ うん。存在感っていうの、不在感みたいな。

小島慶子 ああ。よかった.

壇蜜 20代のときはつらかったんですか?

小島慶子 もともと摂食障害とか,なかなかあまり自分とうまく折り合いがついていなかったので「1人でいてお部屋で紅茶を飲んで満足」とかっていうよりも、1人でいると「どうしよう,自分と二人っきりになる、やばい逃げろ逃げろ」みたいな感じだったから、早く安定したかった.

壇蜜 ああ、この先にはもう1人の自分がいるんです?お茶飲んでる先には。

小島慶子 っていうか、1人でいるっていうことは自分意外に話し相手がいないっていうことじゃない?そうするとさ、嫌いだから,自分のことが。嫌なやつと永遠に2人で生きていくのかっていう心境になっちゃう。当時はね、今はそう思わないけど。

ミッツ 慣れるといいもんよ,それも。

小島慶子 本当?慣れるもの?

ミッツ ひとりっきりのときが一番なんかにぎやかな心持ちなの.

小島慶子 え?にぎやかなの?

ミッツ にぎやかっていうか・・・。

壇蜜 いろんな人が喋ってる感がありますよね。

小島慶子 ええー。自分の中に?

壇蜜 そうですね。私は自分のブログだったり書いてるものの中に、もうひとりの自分を出すことによって、だいぶそれが確立してきました.

小島慶子 へえー。どんな自分?

壇蜜 25歳のときの自分なんですよ.大きな事故に遭って、自分がいけなかったんですけれど、何となく煮え切れなかった。それを自分で反省もできないし、すごく悪いやつだったんですよ.

小島慶子 それは本当に?

壇蜜 本当です.

小島慶子 交通事故かなんか?

壇蜜 はい。人に迷惑かけてばっかの子と向きあうっていうのは相当体力がいることなんですけど,その子のおかげでどれだけ自分が今成長できてるか,丸くなれてるか,許せてる部分が多くなってるかっていうのは、もう計り知れないなあって思って。

小島慶子 それがブログに今?

壇蜜 はい。出てたり、書いてる本だったり。結果的にその嫌な自分でご飯が食べれてるんで、その子は大事にしなきゃいけない。

ミッツ そうなんだよねえ.あれって皮肉だけどそうなの.

壇蜜 嫌な部分を持ってる子がいるんですよね。

ミッツ そういうとこばっかりがお金になるの。

小島慶子 どんな子?

ミッツ まめなとことか。まじめなんだよね。

小島慶子 まめでまじめな男の子?いいじゃん。

壇蜜 でもそれ、自分は好きじゃないんです?

ミッツ 全然好きじゃない.

小島慶子 1人でいるとその子とお話ししなくちゃいけなくてつらくないの?

ミッツ 疲れたんだけど、もう慣れてきたのと、逆に「あ、この子なかなか器用にやるじゃない」みたいな。「まじめなんだ」と思って、それでまたピアノ始めたの、あたし。

小島慶子 あ、それで最近。

ミッツ だから楽譜を追うって、前は嫌な自分だったんだよね。

小島慶子 まじめに楽譜を追って一生懸命やってる自分.

ミッツ そう。楽譜通りに演奏をするってことが。でも,その自分がいるから,ちゃんと楽譜を追いながら、でもとっちらかった自分と一緒になると、それが一緒になって音になって出てくるじゃない?

小島慶子 和解したんだ。

ミッツ そう。和解してね、いい感じで持ちつ持たれつで。

小島慶子 すごい,それが自力でできたのが、おふたりとも。

ミッツ 仕事をしてそこに向き合えたっていうとこがあるのかもしれない。

小島慶子 あ、確かにねえ.

ミッツ じゃなかったら、もうなかったことにするぐらいの勢いだったもん。

壇蜜 折り合いをつける、その過程とかを皆さんにお見せすることで自分のいびつな部分みたいなのが関心を集めるって要素にはなってそうですよね。

ミッツ うん、「いびつ」って言葉はぴったしね。

小島慶子 いびつじゃない人、いないんだけどねえ.

壇蜜 おそらくキュウリが真っ直ぐになる道具ってあるじゃないですか.あれを持ってるか持ってないかだと思うんですよね。

小島慶子 人によっては家族とか?

壇蜜 そうだと思います.恋人だったり家族だったり。

小島慶子 あ、じゃあ、あたしの夫は・・・どっちかなあ、キュウリを真っ直ぐにしてくれたのか、あたしが曲がってんだけど,たまたま夫がその曲がってるのにぴったり合う入れ物だったのか分かんないけど。

壇蜜 でも,いなかったことを想像したら怖くなったって思われたってことは、もしかしたら若干曲がってるんだけど、売れるぐらいには真っ直ぐになるキュウリのケースだったのかもしれない、

小島慶子 言っとく、言っとく。今日帰ったら「あなたキュウリのケースだって~」って(笑)

壇蜜 もうそれ以外に思いつかなかったんです,真っ直ぐにする道具って(笑)

小島慶子 感謝しとく「ありがとう」って。

ミッツ 向こうにとってもそうなんじゃない?

小島慶子 ええ?そうかなあ。どうなんだろう,聞いてみるわ。


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