2013年8月26日月曜日

「人格を着替える」哲子の部屋 2013/08/20(3)

 
 
千葉 ここで1人哲学者をご紹介したいと思うんです。このアイデンティティの問題にズバッと答えた哲学者がいるんです。ジル・ドゥルーズ。このおじさんは、アイデンティティの悩みについてこんなことを書いてます。
 
 
私と言うか言わないかが
 
もはや必要でない地点に到達することだ
 
 
 
清水 うん? えー? 意味分かんないです。
 
千葉 どうですか。
 
マキタ いよいよこれ哲学的じゃないか。
 
清水 ぜんっぜん意味分からないです。
 
千葉 これは「本当の自分」とか「1個のアイデンティティ」なんていうものはないんだと。そんなものは根本からないんだっていうことをドゥルーズは言ってるわけです。
 
マキタ なるほどー。
 
清水 ぜんっぜん分からない。え? なるほどですか?
 
千葉 ドゥルーズっていう人は、常に自分は別のものに変化し続けてる、変わり続けてるんだっていうことを強く言った人なんですよ。
 例えば毎日服を着替えるっていうことも変態するっていうことなんです。
 
マキタ なるほど。
 
千葉 外見だけじゃないのっていうツッコミもあり得ると思うんですけど、でも人格を着替えるみたいなことってあるんじゃないかと思うんですね。
 
清水 うーん。
 
千葉 キャラクターを着替える、そういう変態ってあると思うんですよ。
 
清水 うんうん。
 
千葉 こんな有名な曲もあるんで聞いてみてください。
 
 
 
うちの中ではトドみたいでさ
 
ゴロゴロしてて あくびして(中略)
 
 
だけどよ
 
昼間のパパはちょっと違う(中略)
 
 
働くパパは男だぜ
 
(パパの歌/忌野清志郎)
 
 
 
 
 
千葉 家ではトドみたいなパパが昼間は別人みたいに切り替わっちゃう、そういう歌ですねえ。
 
マキタ いやあ、これ娘に言われてるな、俺。
 
清水 (笑)
 
千葉 (笑) 本当ですか。
 こんなふうに職場とうちで変わるっていうことってきっとありますよね?
 
清水 うん、ありますね。
 今、ルームシェアみたいに女の子4人で住んでるんですけど、人見知りなんで本当、「お帰り」とか「ただいま」を大きい声で言えなくて。で、なるべく会わないように生活して、結構うちに閉じこもってずっと静かにして、全然しゃべんない。
 
マキタ その4人のルームメイトとしゃべんないの?
 
清水 はい。しゃべんないで、すぐ部屋入って。
 
千葉 変な共同生活ですねえ。
 
清水 そうですねえ。家ではそういう感じなんですけど、こうやって出てきたら「おはようございまーす!」って自分からどんどん話していくから、知らずに私も変態しているのかなあって今思いました。
 
マキタ でも、千葉さんどうですか。僕彼女から感じてるのは相当変態だと思います。
 
清水 えー! 何でー?!
 
マキタ だって18歳にしてはすごく根本的なこと考えてたり、いろんな顔を持ってる。
 
千葉 いろんな顔を持ってるってことは変態してるってことだから、まあ変態ですよね。
 
清水 そうですね。
 
マキタ 結構な変態ですよ。
 
清水 (笑) いや、でも最初は変態って、何か特質的な悪いイメージがあったんですね、でも今はその概念が覆えされつつあるんですよ、もう一つの意味があるって分かったので。
 
マキタ まさに哲学じゃん、それ。
 
千葉 そう。
 
清水 哲学ー?
 
マキタ だって概念変わってきてるって。
 
千葉 そう。常識を破るわけですよ。
 
清水 あ、そうか。そうだー。
 
千葉 僕の解釈ですけど、変態っていうのはその状況次第で別のものにはまっている状態から、また別のものにはまり直すっていうこと。その都度、仮の自分の姿っていうのにはまってる。
 
清水 うんうん。
 
千葉 そのスイッチングっていうのを毎日、毎日、カチャカチャやってるんじゃないのかなあと思うんですよ。だから唯一の「本当の自分」なんていうものは存在しない。ドゥルーズが言うように私なんていうふうにはもう言わなくていいんだと。
 




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